ERな人 VOL. 89 川阪正茂 (TINY CORNER GALLERY / PASSOVER)


ERな人 VOL. 89  川阪正茂 (TINY CORNER GALLERY / PASSOVER)

photo, text, edit by NAOKI KUZE 

 1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。

 

ー川阪さんが手がけられているお仕事について教えてください。

川阪 正茂 (以下 川阪): スニーカーとアパレル小売りのPASSOVERと、10月から新しくTINY CORNER GALLERYっていう、レンタルギャラリーの運営をやっています。

ー恵比寿駅からすぐの飲食街の中にポツンと急にストリートな雰囲気のお店が佇んでいるので異彩を放っているなと感じます。PASSOVERは何年ぐらいここで運営されているのでしょうか?

川阪: お店自体は実は99年からあるんです。僕はその前のオーナーの方から2007年の夏に引き継いでやってるんですけど、店の営業だけで言うと通算で26年になりますね。元々、オープンしたての2000年代ぐらいのここら辺って恵比寿系って言われるカルチャーがあって、ストリートブランドのお店なんかがたくさんあったんですよ。なので創業当時は割とそういうお店で賑わってた街だったんですけど、僕が引き継いだ時にはそのストリートブランドのお店なんかはかなりなくなってしまっていて、現在の飲食街の中にポツリとあるような状態になっていましたね()。で、そのままなんとなく続けたら今に至るって感じです。

PASSOVERを引き継がれる前は何をされていたんですか?

川阪: 上京前は僕は心斎橋、アメ村とかの服屋で販売員やっていたり、そのあと個人でアメリカに行って服の買い付けをして卸をしたり、自分で売ったりとかしながら個人で活動をしてましたね。そんな時にPASSOVERの前のオーナーから連絡があって、「辞めるんだけどまだ店舗の契約残ってるからやってみる?」って言われて。それで「やります!」って東京にやって来たんです。

ー正直、PASSOVERは東京屈指の小さな路面店だと思うのですが、お店を引き継がれてから、この限られた空間でスニーカーとアパレルをセレクトで表現する難しさは感じませんでしたか?

川阪: 確かにめちゃくちゃ狭いんですけど、うちはスニーカーもアパレルも他がやってないようなモデルやブランドさんをコンパクトにセレクトして発信してるので、そういう面でやり方としては、ぎゅっと絞ってやる方がむしろ僕が提案したい世界観を作るには最適だったし、大きいスペースだと、空間を埋めるために物理的にたくさん商品展開をしなくちゃいけないので、この空間でやってて苦に感じたことは意外となかったんですよね。

スニーカーはNIKEADDIDASASICSなどのレアモデルや通常国内では流通していないモデルなど、川阪さんの審美眼が光るラインナップ。その中でもPUMAのセレクトには注力している。

10月からはPASSOVERのお隣の角物件でTINY CORNER GALLERYの運営もスタートされまし

た。こちらのギャラリーを運営するに至ったエピソードを教えてください。

川阪: 僕が大阪から上京する前から、ここはずっとネイル屋さんが入ってて。で、僕はPASSOVERを運営しつつ横で「ネイル屋さんの角物件いいな~」と何年も思ってたんですよ()。すると急に、今年の7月末ぐらいにネイル屋さんがすごい片付けをしてるなと思って見てたんです。すると月が変わって8月に入ったらもぬけの殻になっていて。「あ!」っと思ったらもう本当に体が動き出していて、店舗の上に大家さんが住んでるんですけど、気が付いたら大家さんのところに行って状況を伺ってたんです。すると「下の物件は空いたよ」って言われたんで、僕もすかさず「僕が借りてもいいですか?」って。大家さんがその場で「いいよ」って言ってくれたんで、とりあえずまず借りてみようと思って、ほんとにもう何の計画もなく、とりあえず借りれることになって。

PASSOVERの真横に新たにOPENしたレンタルギャラリーTINY CORNER GALLERY

 

ーなるほど、まずは先行して空間だけ手に入れた形だったんですね。ではなぜ店舗の拡張ではなく、レンタルギャラリーという選択肢を選ばれたのでしょうか?

川阪: 新しい空間で何をしようかなって考えた時に、この立地はオフィスで働いている人が昼休憩中に買い物しに来てくれたり、夜も仕事終わりにパって来てくれたりとか、面白いことがあれば人はすぐ集まれるような場所だということは今までの経験から知っていたので、PASSOVERを拡張するよりも、PASSOVERの空間はPASSOVERだけっていう形にして、この新しい空間では、PASSOVERでは表現できなかった人との繋がりというか、いろんな人たちがポップアップだったり、展示会だったり、個展だったりとか、何かそういうことをギャラリーとして発信した方が面白いんじゃないかなと思って。そこからまた新しい出会いもあれば嬉しいですしね。それでギャラリーにしようと決めたんです。

ー内装は結構いじられたんですか?

川阪: そうですね。最初はそのままでも使えるかなと思ったんですけど、ギャラリーにするにあたって、皆さんが使ってもらいやすいように、提供する空間自体に色をつけたくないなと思って。だったらもう潔く真っ白に。内装全て整えて。提供できる什器も極力白に揃えています。使ってくださる方が、並べる物が映えるように、ギャラリーの使用者が表現しやすいように内装は心掛けました。

ーギャラリーの名前もキャッチーですね。

川阪: そうですね。10平米で空間が広くないので10平米という単位が小さいので「TINY」っていうのと、角物件なんで「CORNER」っていうのを組み合わせてわかりやすく「TINY CORNERGALLERY」と名付けました。

TINY CORNER GALLERYではどのように空間を使っていきたいですか?

川阪: 10平米っていう狭い空間ではあるんですけども、逆に使っていただける方が、その方のそのコアの部分だけで勝負できるような場所だと思うので、そういう人が無駄のない、発信、展開をしていけるような場所にしたいです。あと、スタートアップしたばかりの方だったりとか、大きい箱では展示する商材のボリュームが足りない人たちが、まずはこの場所で挑戦して、ステップアップしていけるような始まりの場所になっていければ嬉しいなと思いますね。

ー川阪さんのワークスタイルのこだわりを教えてください。

川阪: 今日も着てるセットアップもそうなんですけど、僕は働く時の服はユニフォーム感覚で着ることが多いんです。いつも朝に「コレとコレとコレ!」って感じで決まったものをもうサっと着て、すぐ仕事に行くような形で服を選んでますね。動きやすいワークっぽい服もPASSOVERでもセレクトしているんですが、SMITH’Sのこの上下の合わせはとても自分のスタイルに馴染むし良いですね。

ー今後の展望を聞かせてください。

川阪: 僕は今まで先のことを見据えて行動するっていうよりも、目の前のことに必死になって取り組んで生きてきたんですよ。PASSOVERを引き継がせてもらった時もたまたま頂いたので話に、考えるよりも先に即答して大阪から東京に出て来ましたし、TINY CORNER GALLERYも突如空いた物件をまずは借りてから運営方法を考えたりしているので、とりあえず目の前のことに対してベストを尽くし続けて、それで振り返った時に形になっているんだなって感じるんです。なので、これからも自分が「楽しいな。やってみたいな。」って気持ちを大事にしながら突き進んでいきたいですね。

LES HALLS JACKET & PAINTER / UNEVEN CORD/ STONE

 

 

川阪 正茂 @shigeig81 @passover_ebisu @tinycornergallery

大阪出身。販売やバイイングなどを経て、2007年より恵比寿のスニーカーとアパレルを取り扱うセレクトショップPASSOVERを引き継ぎ運営を行う。202510月より新たな試みとしてTINYCORNER GALLERYをオープン。

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