ERな人 VOL. 85 LISA (forget me knot)


ERな人 VOL. 85  LISA (forget me knot)

photo, text, edit by NAOKI KUZE 

 1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。

オーナーのENDさんが経営する渋谷宇田川町のセレクトショップALL AGESアパレル、雑貨、アート作品の展示販売のほか、展示やPOP UPイベントが精力的に開催されている。

店内には所狭しとアパレル、雑貨、アート作品がレイアウトされている。
 

LISAさんがビーズアクセサリーやパラコードによる編み物を制作する際の活動名“forget meknot”とはどのような意味でつけられた名前ですか?

LISA: 最初は“knot by LISA”っていうネーミングにしようと思ってたんですけど、友達にロゴの依頼をしたところ、友達が結構色々調べてくれて「勿忘草の“forget me knot”にしたら良いんじゃない?」って提案してくれたんです。勿忘草の英語名が“Forget-me-not”で、勿忘草は「私を忘れないで」「誠の愛」「真実の友情」っていう素敵な花言葉があるんですけど、騎士が恋人のためにドナウ川で花を摘もうとした際に溺れ、「私を忘れないで」という言葉を残したという物語から由来していて。友情のシンボルとしても親しまれていたり、大切な友達とか恋人への贈り物としてもよく選ばれる花なのでとても良いなと思って。それで“not”の部分を結び目を意味する“knot”に置き換え、私の作品を通して「LISAが作ったよ」ってことも伝われば良いなと思って“forget me knot”にすることにしました。

ー素敵なネーミングですね。

LISA: ロゴデザインにも反映してもらっていて、キャラクターが花を持っているのはその勿忘草がモチーフです。キャラクターが走っているように見えるんですけど、私のことを知ってる人にはすぐにわかると思うんですけど、私自身が元々陸上選手だったこともあり日々走っていたり、フットワークが軽くて常に活発に動き回っているっていう意味も込められています。あともう一つストーリーがありまして、私の母の実家が花屋だったんですね。茨城の水戸で家族経営で花屋をずっとやっていた環境の中で私も育ったので、幼い時からお花に触れる機会も多くて。それでロゴデザインも花繋がりにしてもらっていて。頭だけじゃなく手に花を持ってるっていうのは、花を誰かに渡そう、作品を誰かに渡そうっていう意味も込めているんですよ。

“forget me knot”として活動はどれくらいになりますか?

LISA: 今年の3月にこのALL AGESPOP UPイベントを初めてやらせてもらったんですけど、パラコードの作品を作り始めたのは今年になってからですね。ビーズのアクセは45年前ぐらいから自分のために作ってはいたんですけど、身につけていたら友人から欲しいって言われたりしたらたまに作ってあげてたぐらいだったんですよね。それで3年ぐらい前からこの店に通うようになって、普通にお客さんとして遊びに来ていた時に、オーナーのENDさんから紙粘土で作品を作るFinger Jと一緒に「POP UPやらない?」って誘ってくれて、じゃあチャレンジしてみようと思って本格的に活動することになったんです。

 

オーナーのENDさん。ショップやオリジナルブランド OLDXの運営の他、ご自身もアーティストとして活躍されている。

 

ー先程パラコードを実際に編んでいるところも見せて頂きましたが、編むスピードもとても速いのでもっと長く制作活動をされているのかと思っていました。ビーズアクセは以前から制作をされていたとのですが、パラコードの編み込みと全然アプローチが違うと思います。なぜパラコードの編み込みもされるようになったんですか?

LISA: ビーズのアクセだけだと楽しんでもらえる人が限定されてしまうなと思って。ジュエリーをしない人にも楽しんで見てもらえる何かが必要だなって思ったんですよ。正直なぜパラコードの編み込みに行き着いたのかは記憶が無いんですけど()。ただ私はカラフルな洋服とかアクセが好きだし、蛍光色も好きだからそれで編み込みをする素材を選ぶときにパラコードはちょうど良いなと思ったんですよ。派手な色の洋服を人に薦めるのはちょっと難しいけど、パラコードを使った小物ならコーディネートや生活にも取り入れてもらいやすいのかなって。それで初めはボトルホルダーから作り始めたんです。でも意外とそのボトルホルダーは花瓶を入れて花を挿して飾る人がいたり、スピーカーを入れてぶら下げたり、自分が思っていた以上にいろんな使い方のアレンジがあることに気付かされたんですよ。それでストラップとか、日用品に近いものも作れたらいいなと思って、今はちょっとずつ色々勉強しながら制作できるアイテムのラインナップも増やしていってます。よく言われるのは、ビーズアクセもそうなんですけど、色の選び方や配色が「LISAだね」って言ってもらえるので、作品を通して私らしさが伝わっているようでとても嬉しいです。

ー普段は会社員をしながら活動をされているようですが、生活に変化はありましたか?

LISA: 普段はIT系のWEB広告の運用する仕事をしているんですけど、出社をする頻度が少ないので比較的にリモートでも仕事ができる環境というのもあって、日頃から体を動かすことも好きだし、行動的に色々なイベントや展示、気になるお店なんかに行ったりすることも好きだったんですけど、私自身が“forget me knot”を通してより幅広く人と関わりを持てるようになったことが大きいですね。初めてやったPOP UPの時に出会った人から出店のお声をいただけたり、活動の幅が広がったことで人との出会いの幅も広がったことは実感しますね。例えば愛媛のみかん農家さんととあるカフェで知り合った時に、シーズン終わりに最後の余ったみかんでフレッシュジュースを作るイベントでその際に販売するフレッシュジュースの瓶を私の作ったパラコードのボトルホルダーに入れて販売するっていうコラボの依頼があり、まとまった数で別注オーダーをいただいて、初めての卸を経験させてもらいました。それでスケジュールも合ったのでイベント会場だった軽井沢まで顔を出して、実際に気に入って購入してくださったお客様とコミュニケーションも取ることができて、“forget me knot”をはじめていなければこんな経験をすることはなかったと思います。自分の行動から生まれた人との繋がりからこんな景色が見れるなんて思ってもいなかったので、より人と人との出会いを大事にしていきたいと思いました。それにイベントに友達が来てくれるんですけど、友達同士がイベントを通して紹介し合って、また新たな繋がりが生まれていて、作品があったから新しく生まれるものがあったのがとにかく嬉しいです。

ー活動をする上でワークスタイルのこだわりを教えてください。

LISA: 作品が結構カラフルだったりするけど、自分のスタイルも客観的に見たら多分カラフルだっと思うんです。色で遊ぶのが好きなので、今日みたいにTシャツのプリントのピンクと足元のピンクで合わせたり、ビーズアクセとかも作ってるので、ワントーンとかじゃなくて、あえていろんな色を取り入れて、逆にコーディネートしやすくしてますね。会社も出勤は大体週2なんですけど、普通に会社行くときもちゃんと派手にっていうか、自分らしさが出るような、自分でテンションが上がるようなコーディネートを心がけていますね。あとは動きやすさと鞄をあまり持ちたくないのでポケットの多いワークジャケットやワークパンツは普段から愛用してますね。

 

ー今後の展望を聞かせてください。

LISA: ロープの結び方とか、パラコードに関しては、まだまだ詳しくないんで、レベルアップして色んな編み方ができるようになりたいです。ビーズのアクセも含めてインスタレーションとまではいかずとも、単独でのポップアップというか、展示販売のようなことはやりたいと思っています。あとは、やろうと思えばできるけど、まだ踏み出せていないのがワーククショップですね。簡単なキーホルダー作りとか、ビーズのアクセサリー作りとかは年内に1回はできたら良いなって思っています。楽しみにしていてください。

LES HALLES JACKET UNEVEN CORD / MOCHA
LES HALLES PAINTER UNEVEN CORD / MOCHA

 

LISA @lissa993 @__forget__me__knot

forget me knot

オーストラリア生まれ。中学1年生の頃に日本に移住。学生時代は陸上選手としてインターハイで活躍。大学卒業後はアパレルセレクトショップでECPRなどを経て、語学を活かしたIT系の仕事に従事。2025年からビーズアクセサリーやパラコードを用いた作品を中心とした“forget me knot”としても活動をスタート。

 

 

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