ERな人 VOL.65 Stand Mikey (BARRETT CLINTON Director)


ERな人 VOL.65 Stand Mikey (BARRETT CLINTON Director)

photo, text, edit by NAOKI KUZE 

 

1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。

 

ーアイウェアブランドBARRETT CLINTONを始めたきっかけを教えてください。

Stand Mikey (以下Mikey): 元々、洋服がすごく好きでアパレルのブランドで販売員をしていたんですけど、僕は会社のルールとか人間関係とかに馴染むのがすごい苦手で。それで独立をしたいなっていうのを考えた時に、洋服で独立するよりも小物の方がいけるんじゃないか?っていう、ちょっと打算的な考えを持ってアイウェアっていうものに焦点を絞って勝負してみようって思ったのが19歳の時でした。

 

 

19歳でアイウェアを武器に商売を始めようって思ったのはすごく挑戦的ですよね。アイウェアは元々勉強をされていたんですか?

Mikey: アイウェアは元々好きでヴィンテージを集めてはいたのですが、いわゆる専門的な勉強はしていなくて、まず店を最初に作りました。何も知らない状態で店を作って、自分のコレクションとして10本ぐらいだけヴィンテージの眼鏡を所有していたので、それを並べてお店を始めました。

ー一般的にお店を出す手順を踏まずに、19歳で何よりも先に自身のお店を構えられたことがとにかく驚きですね。当時はお店を出して不安などはなかったですか?

Mikey: いざお店を運営していたら、人が人を繋げてくださるというか、「ヴィンテージのアイウェアのお店を始めた若い子がいるよ」っていう感じで、大手の眼鏡屋さんで働かれてるスタッフの方とかを紹介していただいたりして。で、その方がお仕事がお休みの日に、こっそり僕に指導しに来てくださったりして。とりあえず何も分からない状態で店を始めてしまった僕に、技術的な部分やアイウェアの知識を与えてくださったんです。僕自身としても決して正解な道順ではなかったと思うんですけど、お店を作るということも、神奈川県の横須賀市だと都心と比べてテナントの家賃がすごく安かったりっていう条件もあり挑戦しやすかったっていうのは、すごくきっかけとしては大きかったですね。

 

ーお店を構えて。技術的なところも、後追いで色々知識がついてきて、今展開されているアイウェアブランドのBARRETT CLINTONというブランドが生まれたきっかけについて教えてください。

Mikey: 店をやってた時は、ヴィンテージアイウェア専門でやっていたんですが、僕は洋服も大好きなので、パリコレとかもチェックしていたら自分でもアイウェアのブランドをやってみたいと思うようになって。あとはコロナとかもあって、お店は閉めてしまってたんですけど、ブランドはやってみたい想いが強かったので現場仕事とか、キャバクラのボーイとかしながらブランドを立ち上げるための資金集めをしました。現在僕は25歳なんですが、2年前の夏に友人の実家の庭でBBQをしていた時に、今一緒に社員として働いているカメラマンのツジ君を紹介してもらったんです。その時にブランドを立ち上げる形として、カメラマンが最初からブランドの専属で同じチームに所属しているのがすごくいいんじゃないかって思いついてしまって。それで今まで貯めてきた資金を使うのはここだ!って。それで彼と一緒に2型のアイウェアをBARRETT CLINTONのデビューコレクションとして制作しました。2022年の夏頃でしたね。

 

ーブランドとして初のリリースはどのような形で販売されたんですか?

Mikey: お店はもう閉めてしまっていたので、ポップアップイベントで販売しました。僕たちの友人で、以前に”ERな人にも出演しているWASH!PLAZAカジさんが主催しているBLOCK PARTY参加させていただいたのがBARRETT CLINTONとして初の仕事でした。

ー手応えはいかがでしたか?

Mikey: すごくご好評いただいて、これはいける!って思いました。

 

ー現在はアイウェアの型数もバリエーションも多いようですが、デザインはどのようにされているのでしょうか?

Mikey: ブランドとしては手に取りやすい価格帯で時流に合うデザインのモデルを揃えたラインと、それよりちょっとだけハイクラスな価格帯のモデルは、今までお店をやっていた時に最終的に1000本以上のヴィンテージのストックを抱えた経験から、自分なりの方程式でデザインをしています。クラシックな形だけど現代で使いやすいサイジングにしたり、昔にはなかったであろうカラーパレットにしたり、ヴィンテージのアイウェアでは日常使いするには年季も入って耐久面で不安な物も多いので、現代的な解釈でしっかりと強度を持たせてあげたり、クラシックだけどヴィンテージにはない要素を僕なりのフィルターを通してデザインに落とし込むようにしています。

ーちなみに今シルバージュエリーもたくさん着用されていらっしゃるのですが、BARRETT CLINTONとしてジュエリーも展開も始められたようですね。ジュエリーの展開も始めようと思われたきっかけは?

Mikey: ジュエリーに関しては1番はじめに自分が独立を考えた時に、アイウェアで独立するか、もう1つの候補として考えてたのがジュエリーだったんです。結果、その時はアイウェアを選んだんですけど。アイウェアで勉強させてもらったいろんなインスピレーションだったり、アイウェアを通して、いろんな方に出会えたりしたので、吸収させてもらってるうちに、アイウェアと少し違ったアプローチで、形にできるものがあるんじゃないかなと思って。それにサングラスのイメージがなくなる秋冬シーズンに、皆さんに届けられるものは何かなって考えた時に、ジュエリーがいいんじゃないかっていう考えもあって。ブランド内での二毛作って呼んでるんですけど()、夏はサングラス、冬はジュエリーっていう。当面その形でやってみようと思っています。顧客の方向けに先行して少し販売もさせていただいていたんですが、昨年の12月に本格始動しました。コンセプトはアイウェアと共通で、アイテム1つで自分が変われるっていうのをすごく強く推していて。例えば、普段はスーツを着て働いているような方が、お仕事終わりに僕のアイウェアやジュエリーを身に付けてもらった瞬間から自分の時間が始まる、みたいなことを体感してもらえたら良いなと。本来の自分を表に出していくためのスイッチみたいな存在にブランドがなれたら良いなと思っています。

ー今回Mikeyさんが普段働いている場所として横浜・元町のFLAGというお店にお邪魔させていただいたんですがこちらはどのような空間なのでしょうか?

Mikey: 代表を務めるムクノと面白い縁がありまして。

 

From the MorningPINK MOONFLAGの古着屋3店舗とBARRETT CLINTONの代表を務めるムクノリュウヘイさん

 

ムクノ: Mikeyがヴィンテージの眼鏡屋をやっていた時に、オープン前日に僕が偶然お店の前を通りかかって。気になったのでふと入ってみて「何やってるんですか?」って声を掛けて。すると明日から眼鏡屋をオープンするっていうので、オープン前日に僕アイウェアを1本買わせてもらったんです。なので僕はMikeyのお店の1人目のお客さんなんですよ()。その後、普通にお客さんとして通ってて。その後も僕は常連として通ってたんですけど、その当時、別の方がMikeyの店と同じ建物内でお店をやられてたんですけど、その方にムクノもなんかやってみるか?って声かけていただいて。それで僕も古着屋をスタートすることになって、同じ建物内で別々にお店をやっていた時期もあったんですよ。そのあとはMikeyが店を畳んでしまったりっていうことはあったんですが、MikeyBARRETT CLINTONを立ち上げて1年ぐらい経ったタイミングでMikeyの方から、「あの時みたいにまた何か一緒にやりませんか?」って声を掛けてくれて。じゃあ会社にしようっかってなって、だったらBARRETT CLINTONをがっつり扱う店が欲しいよねってことで新たに店舗を立ち上げる流れになり、オープンしたのがこのFLAGです。

 

Mikey: サングラスってどうしても夏のイメージがあって。で、サングラスはどうしても夏が終わると落ち着いてしまう時期に、古着の洋服は秋冬でどんどん盛り上がっていくので、商材の相性も良くて、お互いの強み弱みを補完できるんですよね。僕自身としてもBARRETT CLINTON単体でお店を出すっていうのは当面考えていなくて、古着とアイウェアっていうスタイルでこのFLAGをオープンして、ここを皮切りに店舗を増やしていきたいなと思って今は活動しています。

ムクノ: 古着がメインになるとは思うんですが、セレクトショップのような形での店舗は増やしていこうかなと考えていて。予定だと来年の春先ぐらいにもう1店舗出そうと思っています。

LES HALLES PAINTER 14W CORUROY / STONE

 

Mikeyさんが大事にしているワークスタイルはありますか?

Mikey: 見た目のいろんなスタイルがあって良いと思っているんですけど、今日みたいにモノトーンでニットとペインターっていうミニマルな組み合わせにアイウェアやシルバージュエリーを組み合わせるのはかなりオススメですし僕自身大好きなスタイルですね。ビジュアル面以外だと仲間と仕事をするっていうのが1番自分の核になってる働き方かなと思ってます。で、僕ら会社で店舗が3つあって、各店1人で回しているので、なかなかこう、一緒にやってるメンバーでも揃って会えることがないんですけど、僕ら仕事中は接客以外の時間、オンラインを繋げてずっとコミュニケーションを取っているんですよ。例えば瞬間的に思いついたアイデアを共有したり、店舗でこういう商材の古着がお客様に選んでいただいて旅立っていったとか、その瞬間でお互いに共有して、ちょっとこう、喜びを分かち合うみたいなのがすごく楽しくて、見た目ではないんですけど、僕たちなりのワークスタイルとして大事にしてる部分だったりしますね。

ー今後の展望を教えてください。

Mikey: 会社としての目標は、やっぱり店舗を拡大していくっていうところがまず1つですね。

ムクノ: できれば、全国に広げていきたいですね。

Mikey: 20店舗ぐらい増やしたいなと思ってます。あとは僕、生まれがアメリカなんですけど、小学校に上がる前に日本に来てから、これまでアメリカに1回も帰ったことがなくて。アメリカ時代の記憶もほぼほぼないんですけど、それこそアメリカに店舗を拡大して、その時に自分のルーツを巡る旅にもしてみたいなって思っています。まずは日本で地盤を固めて、アメリカ以外にもアジア圏やヨーロッパとか、そんな遠く離れた土地でアイウェアやジュエリーをきっかけに世界と繋がっていけたら幸せですね。

 

 

 

 

 

Mikey @mikeydesse @barrettclintonofficial

BARRETT CLINTON Director

アメリカ生まれ。幼少期に来日し横須賀で育つ。19歳でヴィンテージのアイウェアショップを横須賀にオープン。2022年夏に自身のオリジナルアイウェアブランドBARRETT CLINTONを立ち上げる。独自性の高いデザインのアイウェアは若い世代を中心に人気を博している。202412月には90年代のSF映画などからインスピレーションを受けたデザインのジュエリーの展開もスタート。横浜・元町のFLAGにヴィンテージウェアとともにBARRETT CLINTONの限定アイテムをはじめコレクションがフルラインナップしている。

BARRETT CLINTON online store https://barrettclinton.com

FLAG @flag_motomachi