ERな人 VOL.38 CHIAKI TAKAKU (Hew 代官山 代表)
ERな人 VOL.38 CHIAKI TAKAKU (Hew 代官山 代表)
photo, text, edit by NAOKI KUZE
1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人”達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。
ーCHIAKIさんが美容師になったのはいつですか?
CHIAKI TAKAKU (以下CHIAKI): 王道なルートなんですけど、高校を卒業して美容専門学校に2年通って卒業してそのまま就職をしたんですけど、実は一度美容師を辞めてるんです。
ーえ、そうなんですか?
CHIAKI: アシスタントの時だったんですけど、本格的にスタイリストになると辞めづらくなることと、アパレル業界にも興味を持っていて挑戦してみたくなってしまって。それで一度アパレル業界で挑戦してみてそのままアパレルに完全にシフトするのか、美容師に復帰するかを考えれば良いかなと思って思い切ってアパレルに挑戦することにしたんです。2015年に渋谷の神南にPilgrim Surf+Supplyがオープンするタイミングでそのオープニングスタッフを募集していたので、思い切って面接を受けたら無事採用してもらえて、半年だけショップに立たせてもらっていました。
ーなぜ半年だけショップに?
CHIAKI: もともと勤めていたサロンの同期やアシスタントの後輩たちがスタイリストに昇格して活躍し始めたことを知って、悔しくなってしまって。美容師としてのハートにまた火がついてしまったんですよ。すると居ても立っても居られないなってしまって(笑)。Pilgrimでは本当に素敵な先輩の方々や大好きな洋服に囲まれて毎日楽しかったんですけど、正直に思っていることを報告したら皆さん快く送り出してくださって。それでまた美容師として復職することになったんです。
ー復職した時は、はじめに美容師として活動していた時とどのような違いがありましたか?
CHIAKI: 色々な先輩や友人に相談したり話を聞いてもらったりした上で復職すると決心したこと だったので、新卒で美容師アシスタントとして活動していた時もよりも明らかにモチベーションが高かったのはよく覚えていますね。それに一度アパレルを経験したことでマインドセットの変化もありました。アパレルを経験する前は「髪の毛とは...」みたいな感じでヘアスタイルを中心とした”かわいさ”や”美しさ”、”かっこよさ”を追求していたんですけど、Pilgrimでは洋服の知識はもちろんなんですけど、洋服が持つアート性やカルチャーも学ぶこともできたので、新しい現場ではトータルファッションとしてヘアスタイルの提案ができるようになりました。そういった新しい提案が出来るようになったのはそこからで、とても自身の中でも大きな変化だったと思います。
ールーツについても教えてください。美容師を目指したきっかけは?
CHIAKI: 私のお父さんが美容師だったんですよ。父の姿を見て育ったので小学生の頃には「将来の夢は美容師」って言ってましたね。なので一度辞めるまではブレずに美容師になる夢を目指して突き進んでたっていう感じですね。高校までは美容室に行ったこともなくてずっと父に切ってもらってたんですけど、高校生ぐらいになると「親に切ってもらうの嫌だ!お店で切ってもらいたい!」ってなっちゃったので地元のハイトーンのカラーとかをやってくれるお店を探して通ったりして完全に思春期でした(笑)。
ー現在は”Hew 代官山”の代表として、”スタイリスト”だけでなく”経営者”としても活動をされているとのことですが働き方にも変化が大きかったのではないでしょうか。
CHIAKI: 2023年4月1日にこの”Hew 代官山”をオープンしてからは、私だけが頑張ってもダメなので、一緒に働いてくれている仲間のことをより考えなければならないなと。今までは1プレイヤーとして自身のファンを作ったり、個人の売上をUPさせることが求められていたんですけど。今はお店全体として成長をしていかないといけないので、必然的に視野を広げて日々営業していかなくてはならないのは当たり前ですがやはり大変ですね。今までは10人以上スタイリストが在籍するお店にいたので後輩の育成も任せることもあったんですけど、今は私含めて4人のスタイリストでお店を回しているので育成面でも私が責任を持って見守っていかなければいけないので、やはり環境の変化は大きいです。
ー日本には美容室がコンビニよりも多いと耳にしたことがあるのですが、もし事実だとしたら美容業界で生き抜いていくには他店との差別化がとても重要ですよね。”Hew 代官山”が意識していることや強みだと感じることを教えてください。
CHIAKI: その情報は本当なんですよ(笑)。それこそ以前務めていた美容室の周りに、どれぐらい美容室があるか数えたら、17店舗もあったんですよ!渋谷なんかはもちろん閉店していくお店もありますが年間に新規の美容室が200店舗もオープンしているらしくて(笑)。私は今まで渋谷、表参道と日本でもトップクラスの激戦区で勤務してきたんですけど、この代官山も負けず劣らずの激戦区で多くの美容室があるんですよ。私がこの場所で新たにお店を出して勝負していこうと思ったの は、今まで渋谷や表参道で働いていたお店はハイトーンやエクステを打ち出していたこともあり若年層がメインターゲットのだったんですけど、私自身が10年ぐらいキャリアを積んで提案したいアプローチが変化したことも大きくて。代官山にもハイトーンやパーマを打ち出しているお店は多いのですが、モードテイストだったり、シックでクールな印象のお店が多いんです。個人的に は”Hew 代官山”ではどちらかというと”抜けたカジュアル感”が好きなので、お客様にリラックスして施術させてもらえたらな良いなと思ってお店の雰囲気を表現しています。
ー今後CHIAKIさんが挑戦してみたいことを教えてください。
CHIAKI: ”Hew 代官山”をオープンしてまだ半年なので、まだまだ先の未来なんですけど、美容室とコーヒーショップと洋服屋を一緒にしたお店をいつか自分でやってみたいなっていうのは夢として持っています。自分の美容室に、自分の好きな洋服と、好きなコーヒーを同じ空間で表現できたら良いなと思ってて。そんな夢を実現させるには今は代表とはいえ、私はまだまだプレイヤーとしてバリバリ活動しているんですけど、新たなアプローチをしていくためにももう少しスローペースに活動をできるようにならないとなと考えています。洋服も自分で作ってみたいので、形にできるように色々なことを学びながら新しいことに挑戦していけたらと思ってます。
CHIAKI TAKAKU (Hew 代官山 代表)
2023年3月渋谷、表参道にある美容室【XENA】を卒業。4月から代官山に【Hew】をオープン。 都会すぎない静かすぎない居心地の良い場所で抜け感のあるカジュアルなスタイルを提案する。
Hew 代官山 (東京都渋谷区恵比寿西2-5-2今村ビル3F)
tel 03-6277-5671 / 11:00~20:00