ERな人 VOL. 92植田 芳未 (THE made in mix)


ERな人 VOL. 92 植田 芳未 (THE made in mix)

photo, text, edit by NAOKI KUZE 

 1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。

 

ー植田さんは長年ファッションデザイナーとして活動をしてこられたと思いますが、ぬいぐるみブランドTHE made in mixを始められたきっかけは?

植田 芳未 (以下植田): シンプルに私が飼っている猫のくうちゃんがもしぬいぐるみになったとしたら、「どんだけかわいいねん!」っていうところから作り始めて()。はじめはぬいぐるみの本とか、いわゆる手芸の本なんかを買ってきて、それを私なりにパターンを改造して作ってみたのがぬいぐるみ製作のきっかけです。

 

ーはじめからブランドや仕事にしようとも思っていたんですか?

植田: はじめはブランドや仕事にするといったプランは全く無くって本当にただの趣味でした。でもそんなタイミングで友達の誕生日がやってきたんです。それで私の飼っているくうちゃんではなくその友達の飼い猫のぬいぐるみを作ってプレゼントすることにしたんです。というのも、私のくうちゃんはシャムトラで模様が入っているので、当時の私の技術ではリアルな毛並みを既存のファー生地では表現できなくて。その点友達の飼い猫は白黒の猫ちゃんだったので、白と黒のファー生地さえあれば製作できたこともあり先に作ってプレゼントすることにしたんです。実際にプレゼントしたら、もう泣いて喜んでくれて。そこから色々作りはじめていくとみんな喜んでくるれるので、だったらもうちょっと本格的にやってみようかなっていう感じで徐々に徐々に活動を進めていったんです。

ーご自身の予想を上回って喜んでもらえたんですね。

植田: はい。もう泣いて大喜びしてくれました。その一件からちゃんと、ほんとにくうちゃんのぬいぐるみを作りたいなって思って。うちの猫はシャムトラなので、ファー生地にエアブラシで着色してるんですけど、エアブラシなんて今まで使ったこともなかったので、デザイナーの仕事の合間に秋葉原工作教室っていう、ガチのプラモデルを作るプラモオタクたちが集まるようなお店の店長さんが主催しているところでエアブラシの使い方を教わりに行きました。そのほかにも、釣りで使うルアーを作っているおじさんが親戚にいるんですけど、ルアー製作でもエアブラシを使うので、おじさんにも色々教えてもらったり、ルアーで使用する目のパーツを、ぬいぐるみ用に別注して作ってもらったりして、クオリティを上げることに成功したんです。

ー植田さん釣りはしないですよね?そうだとしたら、まさかそのルアーを作っているおじさんとぬいぐるみを介して交わることになるとは思いもしなかったんじゃないですか?

植田: 全く思ってなかったです()

 

THE made in mixPOP UPで開催されるワークショップではカスタムでぬいぐるみやキーホルダーをオーダーできる。

植田さんの愛猫くうちゃんのぬいぐるみ

 

ーいざ製作したぬいぐるみはどういった販売方法で展開していったんですか?

植田: はじめは猫ちゃんのイベントなんかに出店してみたりしていました。その時は今のように商品を展開してなくて、キーホルダーを2種類とかで、前日に夜鍋して作って、翌日に店頭に並べるぐらいのラフな感じで。ありがたいことに反応もよくて毎回好評ですぐに売れてくれましたし、私の技術も向上して、アイディアを形にできるなようになっていったことで徐々に徐々にラインナップのバリエーションも増えてブランド化していきました。

ー今ではミシンの縫い物以外に、編み物もあるんですね。

植田: 編み物は今年からなんです。実は編み物の商品に関してはお母さんが製作を担当してくれていて。母が定年退職してパートになったことで時間に余裕が出来たこともあるんですけど、2025年のお正月に実家である大阪に帰った時に母が「暇や暇や」って言うので、家に篭って一緒に作り始めたっていう感じです()。編み物も人気があって、出したらすぐ売れちゃうんです。

キーホルダー、フラワーベース、ショルダーバッグ、テーブルランプなど様々な猫ちゃんが集結している。

編み物のシリーズは“THE made in mix × としてポーチやがま口のチャームなど、
こちらもたくさんの猫ちゃんが顔を覗かせている。

 

ーファッションデザイナーとしてのアプローチと、THE made in mixでぬいぐるみをデザインするアプローチではかなり違いがあると思うのですが、お客様からのリアクションはどのような違いがありますか?

植田: 本当に全く違います。ファッションではレディースのカジュアルブランドを自分でやってるんですけど、アプローチできる幅も限られていますし、ポップアップイベントをしてもエリアによっては反応がまちまちだったりするんですけど、THE made in mixのお客様は猫好きの女性が8割ぐらいなんですけど、男性の方も見に来てくれるし、年齢層もかなり幅広いです。正直アパレルと比べるとものすごく色んな人にウケてるなっていうのは感じています。色々なところからイベント出店にも誘われるようになりましたし、勝手に周りの皆さんが応援してくださっているような状況ですね。好きなものを作って本当に良かったなって思います。

ーそれはやりがいも感じますね。

植田: あとはファッション好きでオシャレな子もお客さんに多いんです。本当に不思議で不思議で、一体どこから来てくれているのかなっていうのはあります。私のファッション関係の知り合いが買ってくれているわけじゃなくて、ただただブランドが1人歩きしてる感じでありがたいです。

ーアイテムを見ていると、ただ可愛いだけじゃなくてファッション的にカバンや腰につけたりしても相性が良いですよね。やはりファッションデザイナーである植田さんが手がけている空気感が出ているんだと感じます。

植田: ファッションとの親和性は少しだけ狙っています。はじめの頃、猫ちゃんのイベントで出店していて感じたのは、既存のお店やブランドの猫ちゃんをモチーフにしたお店やブランドのアイテムは羊毛で作ったものすごく本物の猫のようにリアルなものが多くて。アクセサリーなんかもエレガント過ぎて若い子はちょっと付けなさそうだなとか。だから私が作っているようなカジュアルなゾーンがあまりなかったこともあって、自分で納得のいくモノを作りたいなと思って。

ー今後挑戦したいことを教えてください。

植田: 人気のアーティストさんとかって、経歴見ると10年とかやってらっしゃる方が多いので、まだ本当にステージに立てたぐらいのレベルだと思っているんです。私は海外とかは好きじゃないから、海外進出したいとかは全く思ってないんですけど、日本国内で活動していきたいです()

ーこの“ERな人のインタビューを80人以上やってきているんですけど、この質問で海外で挑戦したいっていう人が多い中、国内で活動したいと仰られた方は植田さんが初めてです()

植田: 絶対行きたくなくて、国内で、東京で、大人気になりたいです笑!

 

ー最高です()。では最後に、植田さんのワークスタイルのこだわりを教えてください。

植田: THE made in mixの活動をしている時はとにかく毛まみれになっちゃうから、エプロンは絶対につけることと、汚れが気にならない服を着ることが多いですね。ぬいぐるみ作る時以外は、ちょっとオシャレしようかなっていう感じですね。そもそもポケットの多い服は大好きなので今日着ているようなカバーオールやミリタリージャケットはON/OFF問わず着ていますね。特に仕事中はペンとかメジャーとか色んなツールが必要なのでワードローブからは離せないですね。

イベントでは植田さんのお母様も帯同し、運営をサポートされているそう。
とても仲が良い。
Special thanks
代官山 蔦屋書店

 

 

植田 芳未 @yoshimi_mix @the_madeinmix

デザイナー

1988年生まれ。2010年、ESMODE JAPON大阪校を卒業。

アパレルデザイナーとして現在活動中。

東京で6年間企業デザイナーとして勤務、その後フリーデザイナーとして独立。

好きなものは猫・お笑いetc

ぬいぐるみのブランド(THE made in mix)

20232月よりスタート。

猫が好きすぎて独学で始めた。