ERな人 VOL. 84 Connett × SMITH'S
photo, text, edit by NAOKI KUZE

1906年に創業したアメリカンワークブランド“SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する“ERな人”達の仕事やライフスタイルをご紹介していきますが、今回は以前にも「ERな人」にご出演いただいた下北沢の名店“WED STORE”のオーナーであり、オリジナルフィシングギアブランド“Connett”を展開する原 悠太さんに、SMITH’Sとの特別なコラボレーションアイテムのローンチを記念しお話を伺いました。

ー約2年ぶりの登場ですね。今回はConnettとSMITH'Sとのコラボレーションアイテムについて詳しく教えてください。
原 悠太 (以下 原): 今回も宜しくお願いします。
ー今回のコラボレーションはフードジャケットと4パネルキャップの2型2色ずつのラインナップですね。ともにダックをメインファブリックとして使用されていますが、最近のSMITH’Sではあまり使用されていない素材なのでとても意外性がありました。なぜダックを使ったコレクションになったのでしょうか?
原: 僕はお店を始めた頃はアメリカ買い付けの古着屋だったので、当時はSMITH’Sも店頭でたくさん取り扱っていました。でもピックできたアイテムはオーバーオールやデニム系のアイテムばかりだったんですよね。なので今回コラボレーションさせていただくことになり、SMITH’Sの事務所に初めてお邪魔させていただいた際にアーカイブのアイテムを見せていただいたんです。一通りアーカイブを見ていると、その中にダックベストを見つけたんです。そのダックベストはおそらくSMITH’SがどこかにOEM的に作ったような雰囲気で、SMITH’Sのタグだけ乗っけたみたいなテンションだったんです。それでSMITH’Sでダックっていうのも面白いし、ちゃんとした形でベストを作ったら良いものが出来るんじゃないかって思ったのがスタートでした。

ー企画当初はベストだったんですね。
原: はい。企画当初はベストで走り出したんですけど、色々企画を練っていく中で発売時期的にもジャケットの方が良いかもなってことになって最終的にフードジャケットになりました。
ーConnettとしてもダックのアウターは初ですか?
原: 初ですね。キルティングをライナーに使ったアウターを作るのも初ですし、釣りのブランドなんでコットンを使ったアイテムがそもそも少ないんですよ。どうしてもメインで使用するのは機能素材が多いっていうのもあって、最近のConnettは特にテックづいていたのでダックを使うことはクラシックな感じでブランドとしても逆に新鮮に映るかなと思ったんです。ダックは着る人を選ばなさそうな感じも良いかなと。
ー今回のアイテムを作る上でのこだわりのポイントは?
原: ダックだと初めは生地が固いんで、生地段階でまず洗いをかけて柔らかくしてから、さらにフェードさせているのでダック特有の着用時のゴワつきなく柔らかな質感ですね。製品で同じ加工をやってしまうとアタリが出過ぎちゃって、いわゆる偽物みたいなエイジング加工になっちゃうので、今回は生地の段階でまず洗いをかけて、その後に縫製をしています。要は、生地はフェードしていて着やすくなっているけど、見栄えは割とピンピンって感じです。あとはお客さんたちが釣りしたり、自転車に乗ったり、普段使いしてもらうことで各々の表情にダックを育ててもらえるようなちょうど良い塩梅になったんじゃないかなっていうのがこだわりポイントです。


ーアイテムに各々のエイジングが楽しめる余白があるのは嬉しいですね。
原: 釣りのアイテムってポケットがいっぱいあるっていうのが定石じゃないですか。そこを削ぎ落としていきたかったんです。シンプルに、釣りをする人にとっても良いんですけど、そうじゃない人も普通に着れて、5年後、10年後も着れるようなジャケットにしたかったんです。あとはアイコンとして昔パタゴニアも採用していたオレンジのトビーコードを使ったループを右ポケット傍につけています。あとはブルーとブラック2色展開ですが総キルティングの裏地は僕の好きなオレンジ色に統一しています。総キルティングなのでフードも袖にもしっかりキルティングが入っているので暖かくて良い感じですね。生地が柔らかいので動きも制限しないですし、かなり調子が良いと思います。縫製面では通常僕が作る洋服は2本針なんですけど、今回はSMITH’Sさんとのコラボということで3本針になっていて細いところでしっかりワーク感も感じられるようになっていますね。揃いのキャップもジャケット同様に洗いをかけたダックで作っています。アジャスターはConnettといえばのゴムを使ったリフレクターベルトとジャケットとお揃いのループが付いた仕様です。



ーこだわりがいっぱいですね。アイテムのディテール以外にも、着た時の肩周りのシルエットがスッキリしていますね。いわゆるダックのフードジャケットでありがちな肩の張り方がスッキリしていてコーディネートもしやすそうです。
原: 身幅は中もたくさん着込めるぐらいたっぷりとはしているんですが、少し前のオーバーサイズ全盛の感じにはならないようバランスはしっかり取っています。大人な感じで着れるようだらしなく見えないよう気を遣いました。サンプル段階では胸元にもポケットをつけたりしていたのですが、足し算足し算のフィッシングウェアっていうより、僕らとしてはもう最小限の機能で、どこでも着れちゃうフィッシングウェアを目指してはいるので。ネットに入れてもらえれば自宅の洗濯機で回してもらっても問題ないですよ。
ーカラーバリエーションとして、なぜブルーとブラックのダックにされたのでしょうか?
原: 実はオレンジのキルティングをライナーにしようというのは、最初にぱっと思いついてはいたんで、どっちかって言うと、オレンジのキルティングありきでダックの色を選んだ感じですかね。古着で言うとやっぱりダックって、ブラウン系のダックっていうイメージを持つ人が多いと思うんですけど、個人的にはそれだとワーク感がどうしても強くなってしまうと思ったので、より都会的っていうか、ネイビーよりも、デニムよりももうちょい明るいブルーっていう感じで、オレンジのキルティングが中からちらっと見えるところも相性が良いかなと思ってカラーを選定しました。黒の方もオレンジと合わせた時に可愛いかなと思ったので。

ーこのジャケットやキャップを着用して釣りはどこに行きたいですか?
原: 例えば僕は日中は仕事してるので、早朝だったりとか、仕事終わりに車に釣り道具とジャケットを積んでおいてサクッと釣りに繰り出す感じが良いかなって。東京みたいな都会でも釣りができる場所はたくさんあるんで、そういう隙間の時間を使って気軽に釣りを楽しむイメージですかね。大自然に繰り出すよりは街中で釣りを楽しもうよってイメージです。お客さんでもやっぱ多いんですよ。仕事終わりに東京湾で釣りを楽しまれる方も。本当に結構多いのでそういう人たちにも届けば嬉しいですね。あとは藪漕ぎしていくような場所だったら防水のナイロン素材とかよりもダックの方が草木をガシガシ掻き分けて突き進んでいけるから森のシチュエーションだったら尚更ダックは調子が良いでしょうね。ガチガチの装備でやる釣りも楽しいんですけど、コンパクトな釣りをしてる人たちには着てもらいたいですかね。ポケットが沢山付いてないとダメなんだって人も中にはいるんで、そういう人には物足りないかもですけど、本当に街で釣りをする分にはめちゃくちゃいいんじゃないかなって思います。もちろん釣りだけじゃなくて、自転車に乗る人、バイクに乗る人とか。フィールドはなんだって良いと思いますね。




ー今回のコラボアイテムで、よりイージーに釣りも、普段の着こなしの楽しみが膨らみますね。
原: もしはぐれちゃったらMA-1みたいに表裏をひっくり返してオレンジを表に着てもらえたらSOSのメッセージを発信してもらえると思います。すいませんこれは完全に後付けですけど(笑)
原 悠太 @wed_store
WED STOREオーナー
創業時はアメリカ買い付けの古着屋だったが、徐々にオリジナルウェアの販売にシフト。驚異的なスピードで企画を立ち上げ、ほぼ毎週ニューアイテムをドロップしている。オリジナルブランド“Yuan”、フィッシングギアブランド“Connett”、スローブランケットブランド“THROWLAND”などウェアからホームグッズまで展開し、多くのファンを魅了し続けている。旅が好きで、最近は特にタイと沖縄と京都が大好き。

<Info.>
11月28日(金)正午12:00~ WED STORE店頭リリース
11月29日(土)21:00~ONLINE販売スタート
WED STORE
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目35-15 下北沢マンション 2F
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