ERな人 VOL.68 CALIFORNIA STORE エロ店主
1906年に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人”達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。
中目黒駅から徒歩5分ほど場所に位置するスーベニアショップ”CALIFORNIA STORE”
ーCALIFORNIA STOREをこの中目黒にオープンされて何年ですか?
エロ店主: 17年目だね。オープンしてからずっとこの場所で。
ーこのお店をオープンにするにあたって、なぜ「エロ」をコンセプトにしようと思ったんですか?
エロ店主: きっかけはね、古着屋さんで元々はピロードールやら、オッパイのマグカップが好きで集めていて。でもね、そういうエッチな雑貨をディスプレイで置いてる古着屋さんを見つけて買おうとしてもディスプレイだから全然売ってくれなくて。で、どうしても欲しくて、それでこれはもう、自分で販売する店を作らないとダメだなと思って。だから随分前に遡るんだけど初めからそういうネタでいこうっていうのは決まっていたかな。
販売もしているピロードールのコレクション。モフモフの毛やコートをめくるとポロリする。
様々なバリエーションで揃えられたオッパイが型取られたマグカップ
セクシーなアンティークやヴィンテージの雑貨が所狭しと並んでいる。
ー前職はどのようなことをされていたんですか?
エロ店主: 色んなところで働いてきたんだけど新品を扱うアパレルの営業と販売をずっとやってきました。
ーお店をオープンするにあたってエロカルチャーをお店のメインコンセプトにされた決め手とは?
エロ店主: やっぱり人がやってないことやりたくて。誰ともかぶりたくないみたいな。ちょっとエッチな感じだとヒステリックグラマーとかはあったんだけど、僕は古着のTシャツのエッチなやつを面白いなと思ってたくさん集めてたから、古着のエッチな面白いネタをオリジナルでなんか作れたら良いなと思っていて。あとは古いエロネタのTシャツが昔は安く買えたけどどんどん値段が高騰していてTシャツに2万、3万も出したくはないし。しかも古いからヨレヨレのボロボロのTシャツに、みたいな。そういうこともあって好きなこととやりたいことが全部まとまってできたのがCALIFORNIA STOREになったって感じかな。
ーCALIFORNIA STOREと言えば、お店で好きなエロネタとボディを選んでエロ店主自らシルクスクリーンプリント(生刷り)をその場でしていただけるのが醍醐味だと思うのですが、これはオープン当初から提供されていたサービスだったんですか?
エロ店主: 初めはプリントだけは工場に出してたんだけど、自分で生刷りする方が良いなと思ってシフトしたんです。デザインは最初から全部自分でやってました。
ー絵は昔から描いていたんですか?
エロ店主: 僕は絵が別にそんなにうまいとかじゃないんだけど、イラストレーターで全部作ってて。実は前職で企画とかは全然やってきてはこなかったんだけど、イラストレーターをいじることは結構多くて、それでソフトは使えるようになったんだよね。
ーお店に並んでいるグラフィックのアイテムは全て生刷りのオーダーが可能とのことですが一体いくつぐらいデザインがストックされているんですか?
エロ店主: デザイン数は300はゆうに超えてるんだけど、もう数えるのやめました(笑)
ーデザインのインスピレーションはどういったところから得られるんですか?
エロ店主: 日常で見かけるロゴとか、ネタになりそうなものをいつもめちゃくちゃ見てるかな。あとは今はネットやSNSでいくらでもネタを拾うことができるから、多分一生エロネタを作れると思う(笑)。昔だったら必死で本屋で資料を探したり、写真集を見たりってことをしてたんだけどiPhoneがあればそんなことをしなくてよくなったよね。写真も動画も撮れちゃうから、ふと気になる瞬間があればすぐに撮っちゃう。僕のスタイルと今の時代はとっても合ってます(笑)。
ーCALIFORNIA STOREって正直商品や内装含めてとても特殊じゃないですか。この中目黒の商店街にオープンされた17年前は近所からの反応はどうでしたか?
エロ店主: 近所の人から特に何かを言われたりってことはなくて全然大丈夫だったんだけど、1度商店街組合の会長さんが店に来た時に「結構苦情が入ってます」って(笑)。
ーどんな苦情だったんですか?
エロ店主: 「商店街にちょっといかがわしい店が出来ている」とのことだったから、それなら「じゃあうちに回してください!対応するんで!」ってことはあったんだけど意外とその1回きりで(笑)。
ーエッチな本やビデオを売ってるわけじゃないですもんね。
エロ店主: そう!店に入って見てもらえればわかるんだけど、実は本当にエロいもんは何一つとして売ってない!そういうグッズを売ると風営法で引っかかっちゃうもんね(笑)。過去に1回だけとあるメーカーさんから”大人のおもちゃ”を一緒に作りませんか?って営業が来たことがあるんだけど、丁寧に丁寧にお断りしました。
ー近年はPOP UPイベントに参加されることも多いようですね。
エロ店主: 声を掛けてくれるところがとっても多くて条件がハマれば断らずに全部参加してますね。東京はお店があるからイベントに参加することは滅多にないんだけど、地方での生刷りは反応もめちゃくちゃ良くてなんか買いっぷりも良いんだよね。多分地方のイベントだとウチみたいな店のコンセプトが珍しいからかせっかくイベントに来たからって買ってってくれるんだよね。
ー全国どこを探しても珍しいと思います。お客さんのどういった方が多いですか?
エロ店主: ウチは7対3で女性。デザインが露骨なエロさじゃないからか、女性にウケが良いんだよね。
ーエロ店主っていうのはいつ頃から名乗られているんですか?
エロ店主: お店をオープンした初期だから、1年目かな。しかも名古屋から通ってくれていたお客さんがいて、僕のことを「エロテン。エロテン。」って呼ぶの。それで「エロテンって何?」って聞くと「エロ店主」って。すると僕も「それいい♪」ってなって。だからその常連さんが名付けてくれた”エロ店主”って呼び方が気に入っていてずっとそう名乗ってるんだよ。他の媒体で過去に取材してもらった時も他の出演者は本名なのに僕だけ”エロ店主”で通させてもらってます(笑)。
ー取材中も海外のお客様が何組もいらっしゃってましたが、海外観光客のウケも非常に良さそうですね。
エロ店主: 海外ね、なんかコロナ前まではアジア系の人はいつもいっぱい来てたけど、そばにジャンティークがあって、そのヴィンテージ好きなヨーロッパ系の人がついでに寄るみたいな感じで来店はあるけど買ってきはしなかったんだよね。でもコロナ明けからアメリカ人が来るようになって。前はあんまり日本に来なかったけどアメリカ人が買ってくれるんだよね。おそらく円安だから、ウチのTシャツって多分今めちゃくちゃ安いんだろうね。
Tシャツやスウェット以外にも様々なブランクボディにシルクスクリーンの生刷りのサービスを受けることが出来る。
実際にシルクスクリーンの生刷りを披露してもらった。
刷ったあとはドライヤーでインクを乾かし、丁寧にアイロンを掛けプリントを定着させる。
生刷りによる“Hawaii”ならぬ”Hiwaii”の完成。元ネタは80’sのTシャツから。すっかり”Hawaii”だと騙されてしまう人もいるだろう。このさりげないエロさもエロ店主の真骨頂。
ーデザインのエロネタがアメリカのカルチャーのものが多いから、元ネタを知っていたり、デザインを見てメッセージが伝わりやすいのも関係ありそうですね。
エロ店主: スラングの意味が伝わるのは結構あるね。あとは日本人がアメリカ人の日本語のタトゥーを見て、「わけわかんない日本語のタトゥーをなんで入れちゃったんだよ。」みたいなのあるでしょ?多分その逆の感覚でアメリカ人からしたら僕がデザインしたグラフィックが面白いんだろうなって思うよ。以前ニューヨークでイベントに参加したことがあって、それは日本のブランドをいくつか集めたPOP UPイベントで、そのイベント自体は2か月ぐらいやってんだけど、僕はそのオープニングのレセプションパーティーみたいなのがあるから、そのパーティーのイベントのコンテンツとして行くっていう感じで。いくつか持って行ったデザインの中でもスポーツブランドのスウォッシュをアレンジしたデザインがとっても好評だったんだけど、僕はそのレセプションパーティーだけの在廊だったから、結局Tシャツのボディをちょっと余らせてしまったから、持ってきたボディは全部刷って、それを会場に置いといて会場を後にしたんだけど、後日ある1人のアメリカ人のお客さんが買いに来て、すごいニコニコしながらレジに持ってきたらしくて。僕の友達はずっと滞在してたから、ちょっとそのお客さんと話してみると、そのお客さんはニコニコしながら「これすごい面白いね。僕、Nikeのデザイナーなんだよ。」ってまさかの本家に気に入ってもらえたエピソードもあります(笑)。
本家デザイナーも太鼓判のスウォッシュデザイン。
NYのイベント時にディスプレイしていたメッセージ。英語は話せないと書いてあるのにこれを見て逆にたくさん声を掛けられたそう。
ーワークスタイルのこだわりを教えてください。
エロ店主: 若い頃は本当に派手すぎて。もう色も使いすぎていたし、ようやく少し大人になって、今はワントーンコーデが多いかな。でプリントは自分で刷ったやつを着るから。だから古着好きなんだけどあんまり着なくなっちゃったかな。生刷りをやっていると全部インクで汚れちゃうから。だからもう全てが作業着にはなってしまってるかな。だからパンツはワークパンツを昔から愛用しているし、SMITH’Sのペインターもよく穿いていたね。シューズはesのACCELを履き回してるかな。
LES HALLES PAINTER / COTTON CORDLANE / CHARCOAL
ー今後の展望を聞かせてください。
エロ店主: 生刷りで世界ツアーをしてみたいかな。前はアメリカに行きたいなと思ってたんだけど、最近はアジアの方が面白いことになるかも?と思っていて。特に台湾はアートやファッションが好きな人が多そうだし、個人店のセレクトみたいなお店も結構あるって聞いたから、なんとなく僕がやっていることも受け入れてくれそうな気がしてて。台湾はぜひ行ってみたいです。あともう一つは、僕はこのエロいTシャツを刷り続けているんだけど、やっぱり70歳、80歳ぐらいになった時に、本当のエロ店主になれるじゃないかなと。今は僕の年齢は50半ばだから、だからまだまだ若造なんだよね。生刷りをやり続けて、極めたいなっていう。やっぱそこが1番面白いんじゃないかな。例えば75歳のおじいさんがこの店でエロいTシャツ刷ってたらめちゃくちゃ面白いと思うんだ。
ーその頃にはデザインの数も1000を軽く超えていそうですね。
エロ店主: それぐらい行きたいよね。面白い冗談っぽく聞こえるかもしれないけど、結構本気だからね(笑)。
CALIFORNIA STORE エロ店主 @california6969
エロ店主自らデザインした300を超えるエロネタのグラフィックから好きなモノを選び、Tシャツやスウェットにその場でシルクスクリーンで生刷り出来る、中目黒銀座商店街にある癖強スーベニアショップ。店内にはセクシーで希少なヴィンテージやアンティークのグッズなども販売している。