ERな人 VOL.46 佐竹 彩 (着物屋おせん店主 / Freelance PR)

ERな人 VOL.46 佐竹 彩 (着物屋おせん店主 / Freelance PR)

photo, text, edit by NAOKI KUZE

 

1906に創業したアメリカンワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)1970年台に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。

 

 

ー長年、ファッションPRの現場で活動をされていて、現在もフリーランスでPRのお仕事を続けていらっしゃいますが、”着物屋おせん”を昨年からスタートされています。PRとは異業種となる着物をお仕事にされるに至ったきっかけを教えてください。

佐竹 彩 (以下 佐竹): 元々着物を好きになったきっかけは、母親の嫁入り道具の和箪笥の中に着物を沢山保管されていることを知ったんです。でもその数々の着物は仕付け糸も付いたままの状態 で、母親も自分で着ることも出来ないっていう状況だったんですよ。長年保管されてきた着物を見た時に「これっておばあちゃんが母のためにあつらえてくれたのに、このまま誰も袖を通さずに終わっちゃうのかな?」って思ってしまったんです。着物ってちゃんと大切にすれば100年以上着ることが出来るし、3世代・4世代と受け継ぎながら着ることが出来るものなので、だったら私が着物を譲り受けて自分で着物を着られるようになりたいなと思ったことがきっかけのひとつですね。あとは私は浮世絵が好きで、浮世絵は昔のファッション誌と言われるぐらい花魁の人や昔のお嬢様がすごい柄合わせの着物を着ていたりして、現代の洋服だと考えられないような素晴らしい柄や色合わせをしている姿がファッション的にかっこ良いな思っていたことから着付け教室に通ったんです。初めは母から譲り受けた着物を自分で着付けることが出来れば良いやぐらいに思ってたんです。でも着物を知れば知るほど、着物文化が厳しい状況に晒されていると感じるようにな りました。例えば素晴らしい柄の着物も保存状態によって日の目を見ずにカビが生えてしまって捨てられてしまったり、私に着付けを教えてくださっていた先生も高齢なおばあちゃまで、着物を楽しむ人が確実に高齢化していることも知りました。もっと若い人が着物文化を盛り上げていかないと箪笥の中で眠ったまま消えていってしまう着物はどんどん増えてしまうかもしれないし、 どうすれば若い人に着物に興味を持ってもらえるだろうって考えるようになったんです。そうなってくるとただ自分で着付けが出来ればいいやって思っていたところから、「人に着付けをした い」、「人に教えられるぐらい技術を学びたい」と気持ちの変化もあり着付け師のコースに進むことにして、8年ぐらい着付けの技術を磨いています。

  
着物と帯などを組み合わせスタイリングイメージを作ってくれた佐竹さん。

手際よく着付けていく
 

ー若い方は現代において、自然と着物に触れる機会が少ないですよね。

佐竹: そうなんです。若い方含めて色々な方に着物を着てもらえる機会をもっと作りたいし、どうすればそういった機会を作れるだろう?って考えました。私はファッション畑の人間ですし、ファッション的に着物が好きだったので個人的にアンティークの着物を集めるようになっていたんです。アンティークの着物は現代の洋服では考えられないぐらい手間の掛かった職人技が詰め込まれいるので、そんな着物の素晴らしさを身近に体験できるようにと思って、昨年の夏に着物屋 おせんを立ち上げ、着物のレンタル・出張撮影・リサイクル着物の販売などのサービスを始めることができました。

ー”着物屋おせん”が大事にされていることはどんなことですか?

佐竹: 取り扱っている着物に関しては100年近く前の物。大正時代~昭和初期の時代の着物を中心にアンティークと謳える着物を厳選しています。この時代の着物の手作業の美しさは言わずもがな手に取ってみて貰えば伝わる部分もあるのですが、着物の持つ魅力をお客様にはしっかりと感じていただきたいので、お召しいただく着物の柄やモチーフに隠された意味やストーリーまでしっか りとお伝えすることで、着物の柄やモチーフが示すお祝いやポジティブなメッセージを理解してもらい、余すことなく着物の魅力に触れてもらえるようにしています。

 
 着物だけでなく帯や筥迫などの小物も佐竹さんのこだわりが詰まったラインナップで用意されている。

 

ー着物の柄には全てに意味が込められていると聞いたことがります。それらを理解した上で着る着物体験は格別なものになりますね。

佐竹: そう感じてもらえると嬉しいですね。撮影のサービスもしているのですが、撮影ではリラックスした雰囲気を大事にしています。着物を着ていたとしても肩肘張る必要はないですし、デフォルメし過ぎずにあくまで日常の中の自然な美しさや表情、空気感を切り取って、良い1日だった なって思ってもらえるような撮影を意識しています。

 

“着物屋おせん”では出張撮影も行っているため、次の撮影に向けたロケハンにも同行させていただいた。

着物屋おせんからも近く、撮影でもよく訪れることの多いという鎌倉の妙本寺。

学生時代に写真部に所属していた佐竹さん。古いMINOLTAのフィルムカメラを構えイメージを膨らませる。

 

LES HALLES PAINTER / WHITE

 

 

ー”着物屋おせん”を運営されている中で佐竹さんのやりがいとは?

佐竹: 現在も並行して活動している企業に属してサービスをPRするお仕事は、お客様と直接コミュニケーションを取るわけではないので、アウトプットしてもお客様の顔を直接見ることができないことが多いんです。でも、着物屋おせんではお客様から直接お仕事をいただいて、カウンセリングをしてお客様と密にコミュニケーションを取れるので、実際に着付けをし、撮影をする際はお 客様の喜ぶ顔を肌で感じることが出来るので、そこは本当に嬉しいことですしPRの仕事とはまた違ったやりがいを感じますね。

 

次のロケハンは由比ヶ浜の方へ

ー今後挑戦してみたいことを教えてください。

佐竹: まだまだ立ち上げたばかりですし、着物屋おせんをもっと沢山の方に知ってもらいたいです。現代で着物を着る機会って七五三・成人式・結婚式っていうシチュエーションが多く一般的だと思うんですけど、それ以降も気軽に着物を着てもらえたらなって思っていて。着物って数十年前までは日常着として着られていたのも事実ですし、現代においてハレの日にしか着ちゃいけないというわけではないので、全然着物を着るっていう行為は堅苦しくなくて良いものだと思うんです。なのでちょっとしたお祝い事とかがあればもっとラフに着て欲しいと思っています。世のお家で眠っているご家族の思い出の着物の、日の目をもっと見せてあげられる機会を様々なタッチポイントで作ることが私の使命なのかなと思っています。そしてそのきっかけを着物屋おせんが担うことができたら嬉しいですね。

 

 

佐竹 彩 @ayasatake

アパレルセレクトショップのPRを経て、2021年に独立。現在は登山好きが高じてアウトドアブラ ンドのPRを手掛けるほか、2023年からは鎌倉にて着物のレンタル・和装記念撮影のサービス「着 物屋おせん」も営む。


着物屋おせん
@kimono_osen
https://www.kimonoyaosen.com

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