ERな人 VOL.22 松坂 生麻 (Hood mart 店主)
photo, text, edit by NAOKI KUZE
1906に創業したアメリカンワークワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台 に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛さ れ続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった 現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人”達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。
ー長年ファッションの分野でご活躍されてきて、”フッドマート”という「服のあるオモチャ屋さん」を始められたきっかけを教えてください。
松坂 生麻 (以下松坂): 洋服が大好きでファッションを仕事として12年間ほど洋服を作ったり、販売してきたんですけど、いつからかプライベートで洋服を見ている時でも「この生地すごいな。この縫製は良いな。」っていう感じで無意識に大好きな洋服を仕事目線でしか見れないようになっ てしまっていたんですよね。それが悪いというわけではないんですけど。その反面、小さい頃から オモチャを見ると未だにワクワクして「ウオー!」ってテンションが上がる自分がいまして、正 直”食”とかに興味もこだわりも全くなくて、本当にテンションが上がって胸が熱くなるのがオモ チャだって気づいた時に、何歳になってもこんなにテンションが上がるんだったら”オモチャ”を仕 事にしたほうが良いでしょって思ったのが前職を辞める半年ぐらい前で。何よりも熱くなれるの が”オモチャ”だったっていうその一つの理由が”フッドマート”を始めるきっかけでした。
この日は北参道の”GOOD THING”にて三宿の”UPTOWN”と共にポップアップイベントを開催していた。
ー2023年から独立されて半年が経過しましたがガラッと環境が変わったと思いますがいかがでしょうか?
松坂: アパレルの時は良くも悪くもオンとオフがあんまりないと思っていたんですけど、”フッド マート”を始めてみたらもっとオンオフが無くなってしまいましたね(笑)。ポップアップなどのイベ ント出店の準備とかをしていても遊んでる感覚ですよね。1人で運営しているのでやりたくないこ とはやらないですし、現状好きに全振り出来ているので半年間ずっとテンション上がりっぱなし で楽しいです(笑)。とりあえず最初の1年間は今の感じで好き勝手やってみようと思っています ね。
ー取り扱われている商品の中でも特に気になったのが様々な漫画・アニメ・ゲームなどのキャラ クターを組み合わせたキーホルダーです。
松坂: 5月に恵比寿のパスオーバーさんでポップアップイベントをやらせていただいた際に、取っつき易いアイテムも展開したいなと思って、色々なキャラクターのキーホルダーを組み合わせて一つ にしたものを作って並べてみたんですけどとても反応が良かったんですよ。そもそもパスオーバー さんに来るお客様がオシャレな人が多いので、そういうオシャレな格好の人がかわいいキーホル ダーをジャラジャラ付けてたらイケてるなぁって思ってやってみたんですよね。漫画・アニメ・ゲー ムに疎い人が困らないように、キャラクターの色のトーンを合わせてスタイリングするように1つ のキーホルダーに落とし込んでいるんですよ。
ージャンルがバラバラなものが組み合わさっているのに、1つのキーホルダーとしての統一感があって不思議ととてもファッション性を感じました。
松坂: 全然ジャンルも違えばコラボすることもまず無いであろうキャラクターたちがそれぞれの色のトーンを合わせてあげることでチーム感もでますし、無いはずのストーリーも感じれて面白いんですよね。色のトーンを合わせるスキルは間違いなくファッションの仕事で培われた賜物ですね。 最近では夜な夜なキーホルダーの製作作業をしているんですけど、面白い組み合わせを作ってはひ とりクスクス笑って、韓国ドラマを観ながら作業してます(笑)。男女問わずお気に入りを見つけて もらえると思いますし、女の子だったら”ミュウミュウ”とか”バレンシアガ”とかのバッグのチャー ムにこのキーホルダーを付けてもらったら”アリアナ・グランデ”とか海外セレブからめちゃくちゃ 褒めれるんじゃないかなと思ってます(笑)。日本独特のオタク文化って海外ではイケてるって思わ れているので、その感じを逆に日本で広めたいっていう想いも根底に持っていて、”イケてるオタ ク像”を追い求めるのが僕の”フッドマート”としてのコンセプトですね。
ストライプシャツ (アンユーズド) / ヒッコリーストライプペインターパンツ (スミス) ¥29,700 / スニーカー (コンバース)
ー面白いワードが出てきましたね。”イケてるオタク像”。
松坂: 前職ではブランドディレクターをしていてパリとか海外にも行く機会があったんですけど、 日本のブランドが海外でバコーンっと爆発的に売れるのってなかなか容易いことではないと思っ ていて、音楽とかに置き換えた時に日本のラッパーがどうやったら海外で売れるかなって考えた りしてて、今人気の”YOASOBI”の”アイドル”って曲みたいにみんなが注目するアニメとガチガチに 組み合わさればバコーンって売れるんじゃないか?とか考えていて、前職の時は東京やアジアで しっかりマーケットを築いて行こうってマインドだったんですけど、今の”フッドマート”としての 活動を始めてからはまだまだ先の目標ではあるんですけど、海外にも僕が提唱する”イケてるオタク像”を体現した出店などしてみたいと思っています。
フッドマートではTシャツも豊富にラインナップしていて、 アニメTやJポップのバンドTなど松坂さんならではなセレクトを楽しむことができる。
ー今後の目標を聞かせてください。
松坂: 近々だと自分の”部屋”を作りたいですね。今は基本的に家で仕事をしているので、作業が出 来る場所が欲しいのもあるんですけど、事務所って感じではなく僕が東京に出てきて初めて借り た7畳のワンルームみたいな部屋にオモチャとTシャツと、ポスターをいっぱい貼った空間を作り たいですね。場所は非公開だけどお客様からDMとか来たら教えてあげてアポイント制で接客した り、気まぐれで部屋を開放してショップとして機能させたりしても良いなと。でも友達はいつでも 来てもOKで本当に友達の家に遊びに来たみたいな錯覚を起こすような空間を作りたいと思ってい ます。その先に海外とかでも展開していきたいですね。
ー最後に今ハマってるオススメの漫画を教えてください。
松坂: 連載中の作品だとダントツで花沢健吾先生の”アンダーニンジャ”ですね。漫画の歴史を変え ちゃってると思っているので、今年アニメ化もされるので是非チェックしてみて欲しいです!
松坂 生麻 @seimamatsuzaka @_hoodmart_
Hood mart 店主
2023年に独立。移動型リサイクルショップ”Hood mart”を立ち上げる。現在は毎月ポップアップイ
ベントを開催し、ファッション性を併せ持ったオタク心くすぐるセレクトで各地にファンを急増 中。人々がいらなくなったモノを”Hood mart”ならではのオタク的目線で新たな価値を見出し”イケ てるオタク像”を提案している。