ERな人 VOL.20 オガサワラガク (餃子超人)
photo, text, edit by NAOKI KUZE
1906に創業したアメリカンワークワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台 に日本で流通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛さ れ続けてきたブランドです。このウェブマガジン「ERな人」では、そんなスミスを身にまとった 現代で様々な役割を持ち活躍する”ERな人”達の仕事やライフスタイルをご紹介していきます。
代々木上原にある白龍にオープン30分前から並び先頭を陣取るオガサワラさん
ー”餃子超人”として様々な餃子をはじめ、餃子にまつわるカルチャーを発信する活動をされていますが、ここまで餃子にのめり込むきっかけとはなんだったのでしょうか?
オガサワラガク (以下オガサワラ): はじまりはやっぱり母が作る餃子が幼い頃から好きっていうところからになるんですけど、一般的にいうハンバーグやカレーが好きみたいな感覚でずっと好きな食べ物だったんです。でも明確な出来事があったわけではないのですがある時、「この好きは普通の好きじゃないな...」って思ったんですよね。例えるなら”幼馴染への恋”に気付くみたいな感じ ですね(笑)
ーその”恋”はいつ頃気付かれたのでしょうか(笑)?
オガサワラ: 大学卒業後にファーストリテイリングに入社しまして、ユニクロの本部に勤めていたんですが、朝7時から仕事開始なんですけど僕はその中でも一番早く出社して始業していたので昼 の2時か3時ぐらいには仕事を終わらせていたんですよね。そして仕事が終わったらいつの間にか そこから中華料理屋に3軒とか4軒とか毎日はしごするようになっていて、「これは異常だ...」っ て中華料理屋でお酒飲みながら気付いたのがのめり込んでいると自覚したきっかけですね。さらに拍車をかけたのが、僕にはパラダイス山元さんという餃子の師匠がいるんですけど、その方が出版している”読む餃子”っていう本がバイブルで、半年ぐらいズボンの後ろポケットに入れて毎日 読んでたんですけど、ある時いつものように中華料理屋で餃子を食べていたら目の前にパラダイス山元さんが現れて、「僕、いつも”読む餃子”持ち歩いてます!」ってご挨拶させていただいたのがきっかけでそれ以降一緒にお店を巡らせていただいて、深堀できるようになったんです。それにパ ラダイス山元さんは会員制餃子店”蔓餃苑”のオーナーもされていて自らもオリジナルの餃子を作ら れているので、そのお店で餃子食べさせていただき、作り方も学ばせていただいたことで餃子っていうジャンルでここまで深く考えて面白いことを発信できるんだ!ってパラダイス山元さんに教えてもらったのもきっかけとしては大きくて。
ーそれは何歳頃の出来事でしょうか?
オガサワラ: 30歳ぐらいですね。その辺りから「もっと餃子やりたいな」って思って32歳の時に10 年勤めたファーストリテイリングを退社して”餃子超人”になり、餃子愛好家としての活動に傾倒していくことになります。今36歳なんですが毎日欠かさず餃子を食べてますね。
ー餃子に飽きることはありませんか?
オガサワラ: 普通だったら流石に飽きそうじゃないですか?でも餃子ってお店によって違うのはもちろんなんですが、肉ひとつとっても豚なのか牛なのか鶏なのかで違うし、野菜は何を入れるの か、混ぜ方、包み方、焼き方でも全然変わるので飽きないんですよね。さらにいうと同じ具材や調理方法だったとしても、作る人によっても味が変わるんですよ。だから毎日同じ店に通っていても細かな味の変化を楽しめるし新しい発見があるので、僕としてはこれだから餃子は楽しくて仕 方がないんですよね。
餃子と共に注文したのはオガサワラさんのオススメの麻婆茄子。まずは麻婆茄子からテーブルに通される。 あんのとろみが茄子を美しく煌めかせている。
続いて主役である熱々の餃子が到着。
餃子が到着するや素早い身のこなしでスマートフォンのカメラを構えるオガサワラさん。 彼のインスタやブログ”今夜も餃子とブギーバック”ではとてつもない熱量で餃子をはじめ様々な町中華の魅力や愛が綴られている。
白龍の餃子は美味しくて激熱!
餃子の熱さに負けず一口で口に運んだオガサワラさん。 「何もつけなくても餡にしっかりと味がついています。餡のしっとりした舌触りは是非お店で味わって欲しいです。
続いてオススメのカニチャーハンも到着。
「白龍の料理は全て熱々。」とオガサワラさんが語る通り付け合わせのスープからほとばしる湯気からもその熱さが伺える。
テーブルに料理が出揃ったところでもう一度写真に収める。
勢い良くテーブルの上の料理をかき込んでいく。
10分ほどでペロリと平らげたオガサワラさん。「餃子って他の炒め物なんかと比べると、肉をミンチして、野菜を刻んで、混ぜて,包んで、焼くという町中華の中では圧倒的に調理工程が多いにも関わらず500円とか600円ぐらいで提供されているところが多いんですが、お店目線でいうとコスパが悪く、もはやサービ ス料理の域だと僕は思っているので僕はそれ以外のメニューも絶対一緒に頼んで食べるようにしています。もちろん残しません。」
ー餃子超人としてのお仕事はどんなことをされていますか?
オガサワラ: 色々と活動しているのですが、雑誌・WEB・TVなどのメディアに出演させていただくことがひとつと、僕はお店以外でもお取り寄せや冷凍餃子も沢山食べるので、スーパーや八百屋さんなどで取り扱われている冷凍餃子のセレクトを担当させてもらっています。さらに全国様々な土地の美味しい餃子をスーパーや個店さんに紹介して販売できるようにアテンドもしています。 あとは新しくオープンされる餃子屋さんの餃子のディレクションをさせて頂いたり。餃子に抜群に 合う餃子専門ビール”ギョウザピルスナー”の卸販売も行っています。お陰様で好評を頂いていてビールはすでに第5弾まで販売させて頂いてますね。最近だとイベント出店のオファーをいただくことも多くて、最近だと音楽フェスの”レインボーディスコクラブ”に参加させて頂いたりしてとて も好評でした。
ー餃子にまつわることだけでも多岐に渡りますね。インスタを拝見していると他にもお仕事され ていますよね?
オガサワラ: 餃子に関しては僕自身がお店を持っているわけではないのと、1日1軒はマストで中華 料理屋に行くのですが多い時は1日7軒とか平気で回っちゃうので餃子に対しての出費がかなり多いんですよ(笑)。なので生きていく為のお仕事としては、最近2店舗目をオープンさせたばかりなんですがパーソナルジムの経営と、アパレルグッズのプリントなどを行う会社を経営しています。
あとはマッチョ専門のフォトスタジオの経営もやっているんですけど、あくまで本職は餃子で餃 子で生きていく為の仕事ですね。
店を出ると行列はさらに長蛇に。地元民やそれ以外の人も多く訪れる人気店。
ー餃子超人として活動していて喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?
オガサワラ: やっぱり昼間から餃子を食べてビールを飲んでいる瞬間は普通の社会人では成し得ない背徳感も合わさって最高の気分になりますね(笑)。あとは全国色々な美味しいお店の餃子は沢山
巡ってきたので正直食べ尽くしたと思っていて、最近はまた違った楽しみ方をしているんですけど、「普通誰もこの店で餃子頼んだことないでしょ」っていうようなお店で餃子をディグってて、 ヤバイ餃子と出会うことも多々あるんですけどたまにめちゃくちゃ美味しい餃子と出会えることも あってその瞬間はめちゃくちゃアガるんですよね。ピークタイムではない時間帯とかを狙って来店 してお店の方から餃子のこだわりとか色々とお話を伺ったりしてそういった時間も最高ですね。
まだ腹に余裕があるとのことで愛車の電動自転車で次なるお店へ繰り出すオガサワラさん。
ーそれでは最後に今後の目標を教えてください。
オガサワラ: 明確な目標が2つありますね。自分で餃子の雑誌を作りたいと思っていること。そしてもうひとつが海外で餃子のイベントを開催したいなと。イベントは今年中に出来れば良いなと 思ってはいますね。雑誌に関しては、ありがたいことに今まで雑誌・WEB・TVなど沢山メディア にも出させていただいてきたんですけど、やっぱりそれぞれのメディアごとに制限もあったりして 本当に伝えたいことが情報として出せないことも多かったんです。だったら自分でメディアを立ち 上げれば100%伝えたいことが表現できるなと思っているんですよ。雑誌を作ったこともないですけど、何とか仲間も募って形にしていきたいです。あと話しながら3つ目を思い出したんですけ ど、割と真面目に”さかなクン”のポジションを狙っていきたいんですよ(笑)。最近”さかなクン”の 自伝を読んだんですけどめちゃくちゃ面白かっただけではなく、好きを突き詰めて学者としても活躍されていてとても刺激を受けたんですよ。今まで僕は気持ち面を押し出して餃子について情報発信をしてきたんですけど、今後は”さかなクン”みたいに学術的にも餃子を語れるようにならない といけないと思っています。最終的には映画にもしてもらいたいですね。「餃餃餃(ギョギョ ギョ~)」って俳優さんに言ってもらったりして(笑)
キャップ(ザ ノースフェイス) / サングラス (イジピジ) / 4ポケットカバーオール (スミス) ¥16,500 / ショートスリーブサイドポケットTee (スミス) ¥5,500 / シーサイドペインターショーツ (スミス) ¥9,000 / ソックス (ウップス) / スニーカー(ナイキ)
オガサワラガク @kebab
餃子超人
1987年東京生まれ。32歳で10年勤め上げたファーストリテイリングを退社したのち、餃子超人としてインスタグラムや自身が運営するサイト”今夜も餃子とブギーバック”にて日々美味しい餃子の情報や魅力を発信し続けている。餃子のみならず、都市の再開発や経営者問題で減少の一途を辿っている町中華の保存と繁栄を願い、日本が生み出した町中華という文化の保存に貢献をするべく日々町中華で餃子とビール追い求めている。
今夜も餃子とブギーバック https://gyoza.info/