ERな人 VOL.10 / SMOCK 一級建築士事務所
ER な人 VOL.10 smock 一級建築士事務所 (海野飛竜 CEO/ディレクター , 渡邉宏道 COO/デザイナー)
photo, text, edit by NAOKI KUZE
1906に創業したアメリカンワークワークブランド”SMITH’S AMERICAN”(以下スミス)。1970年台に日本で流 通するとリアルワーカーからアメカジフリークまで、ジャンルレスに様々な人々に愛され続けてきたブランド です。そんなスミスを現代で活躍する”ERな人”に仕事やライフスタイルを通して着こなしてもらい、スミスの 魅力を語っていただきます。
―本日は”smock 一級建築士事務所(以下スモック)”の CEO/ディレクター海野さんと COO/デザイナー渡邉さん のお仕事に同行させていただきありがとうございます。改めてお二人で活動されている”スモック”とはどんな設計 事務所なのでしょうか?
海野 飛竜(以下海野): 2014 年から内装デザイン集団”otoproduct”として渡邉とは一緒に活動をしておりまして、 店舗や事務所、住居に至るまで様々なプロジェクトの内装・施工に携わってきました。そうして活動してきた中で、も っと大きなスケールのプロジェクトにも挑戦していきたいと思い、一級建築士の渡邉と昨年秋に”スモック”を設立し たんです。
渡邉 宏道(以下渡邉): スモックは僕 1 人では出来ないことを海野と一緒に活動することで実現できているんです。 例えば、海野は建築とは別にアパレル業界でマネジメントの経験や、現在もヴィンテージウェアのお店(ザ・サンゴ ーズダウン)の経営者としても長いキャリアを持っている側面もあって、アパレル業界で積み重ねたファッション感を 建築の仕事でも取り入れてくれるので、僕では提案できないような新鮮なアプローチをしてくれます。会社としても そういったファッション目線での切り口はすごく大切にしています。建築分野において「衣服は移動するシェルター」 という考えもあるんですけれどご存知ですか?
―”移動するシェルター”??
渡邉: 簡単に言うと、衣服とは身体を守るために必要な最小限の要素を取り入れた言わばシェルターのようなもの という意味なんですけど、僕自身も確かにな。と思うところがあリまして、要するに衣服ってもっとも身体に寄り添う モノなのでそういったファッション目線を通したフィルターがスモックが携わる建築・内装・施工に至るすべてのプロ セスで大事なんじゃないかと思ってます。
―なるほど。面白い考え方ですね。
海野: そうなんです。僕たち”スモック”って会社名もその流れで説明すると、アメリカではなくイギリス発祥の話にな っちゃうんですけど、スモックって元々は農作業とか、画家が絵を描くときに着ていた前羽織とか、割烹着のような 一枚羽織のことを指してるんです。日本とかだと建築家のイメージって綺麗なシャツを着て、プレスがしっかり入っ たスラックスを穿いて格式高いというか、お堅いイメージありますよね?でも僕たちはリアルなワーカーのスタイル が本当にカッコ良いと思っているので、そういったリアルなワーカーたちへのリスペクトの気持ちも込めて”スモック” って名付けたんです。椅子一個作るのも商業施設を手がけるのも、スケールに囚われずに分け隔てなく真剣にデ ザインから施工までを取り組むのが僕たちのスタイルなんです。
―お二人らしさが伝わってくる素敵なネーミングですね。ひょっとすると今回スミスのアイテムを着用いただく際、海 野さんはカバーオールを、そして渡邉さんはアノラックをチョイスしていただいたのですが、スモックとリンクしてくだ さったんですか?
海野: どちらも頻繁に着用するアイテムなので悩みましたが、撮影前に渡邉がたまたまアノラックを着て来ていた ので今日のアノラックは渡邉だなと(笑)
渡邉: 元々アノラック好きで普段から良く着ているのでスミスのアイテムでアノラックもあって良かったです(笑)。
ジャケット(スミス) ¥26,400 / ヘンリーネックカットソー(ザ・サンゴーズダウン) / ボトムス(ザ・サンゴーズダウン) / シューズ(メレル)
アノラックシャツジャケット(スミス) ¥17,600 / ボトムス(ザ・サンゴーズダウン) / シューズ(リーボック)
―お二人はヴィンテージのスミスを元々よく着用されているそうですね。
海野: そうなんですよ。ヴィンテージの買い付けは基本的に海外で行っているのですが、特に収納力も高いのでペ インターパンツは長年愛用しています。”スモック”の仕事で施工の際はリアルにツールポケットを使いこなしている と思います。ハンマーやスケール、インパクトなど様々なツールを収納できるのでリアルワークウェアとしてもお世 話になっていますね。僕が運営している”ザ・サンゴーズダウン”でも、ワークウェアやミリタリーものは得意分野なの でずっと仕入れていますし、シンプルにそういったワークやミリタリースタイルが好きなんです。
―今回の取材では新しいスミスのアイテムを着こなしていただきましたがいかがですか?
海野: 僕は MADE IN JAPAN のデニムの雰囲気が良くてカバーオールを着用させてもらったのですが生地の厚さ が本当に絶妙で、肩が凝らないオンス感もとても着やすいです。ファッションとして使える服はもちろんなんですけ ど、僕たちなら施工時でもがっつり使いたくなりますね。
渡邉: 僕が着ているアノラックはシャンブレー生地のシャツアノラックなんですけど、アノラックって割と脱ぎ着がめ ちゃくちゃ面倒なんですけど、これはシャツ素材なんでそもそも暑くなっても腕を捲ったりジップを開いたりすれば脱 いだりしなくても良いぐらいのライトな生地感が気に入りました。フロントにもポケットあるんですけど、良く見ると胸 の裏側にもポケットがあって使いやすそうですね。
海野: 裏にポケットを隠して表に出さないディテールがファッション的にもカッコ良いですよね。ジェントルメンな感じ がスミスらしい洒落感がありますね。
―それでは最後に今後のスモックの活動についてお聞かせください。
海野: ヴィンテージの洋服を長く取り扱ってきたからいつも意識しているんですが、ヴィンテージって経年変化で味が出てきて価値が高まっていくじゃないですか。それは建築にも通ずると思っていて。例えば住宅案件で僕たちス モックはその住宅を引き渡したら終わりじゃなくて、引き渡して実際に人が住むことでその内装や空間が育っていっ て味が出てくる。引き渡した後も愛着を持って過ごせるよう、クライアントと空間ともにずっと寄り添える設計事務所 でありたいなと思ってます。
渡邉: 純喫茶が流行っているのも近いことですよね。狙って味が出ているのではなくて、工夫してそのお店が使わ れて育っていって、その結果生まれた味わいがお客さんにとって居心地の良さに繋がっていると思うので、歴史を 重ねることで価値が出るっていうことは意識して設計していきたいですね。建築とヴィンテージウェアって親和性が 改めてあると思ったんですけど、ヴィンテージとして並ぶ洋服は元の持ち主が何気なく生活の中で着倒した洋服が 回り回って価値を見出されてバイヤーの手によってヴィンテージウェアとして出回っているわけで。そんな愛される 仕事をしていきたいですね。
smock 一級建築士事務所 @smock_inc
2014 年に内装デザイン集団”otoproduct”として活動をスタート。2022 年に smock に改名し店舗、オフィス、住居 等大小様々なスケールを跨ぎ設計を手掛ける。
海野飛竜 @hiryu_unno
smock 一級建築士事務所 CEO/ディレクター
2010 年にアパレルブランドを設立し自身のキャリアをスタート。現在、12 年目になる vintage shop“TheSunGoesDown”のオーナーをしながら、建築設計のディレクションを多数手掛ける。
渡邉宏道 @hrmccc
smock 一級建築士事務所 COO/デザイナー 大学院卒業後に株式会社中村竜治建築設計事務所入社。その後上場企業にてデザイナーに就任。これまでに店 舗、オフィス、住宅、家具什器を中心に 300 件を超える様々なオブジェクトの設計に携わっている。
Special thanks
【2 pocket cover-all /10 oz. blue denim / indigo】
ゆったりとしたフィットとシンプルかつオーセンティックなデザインが魅力の2ポケットタイプのカバーオールジャケットは日本製の10oz.デニムを使用しMade in Japanにて制作しています。飽きのこないデザインと着込む事で風合いの増すインディゴデニムとMade in Japanの美しいステッチワークが魅力の一枚です。
【Anorak shirt - Jac /blue chambrau/indigo】
どこかクラシックな雰囲気漂うフード付きのアノラックシャツジャケットです。手入れの良い大きめのフロントポケットに加えて左胸には内ポケットが付きます。裾にはドローコートが入り、シルエットを自由にアレンジ出来ます。